結論から先に書きます。
空気清浄機では、二酸化炭素濃度は下がりません。
CO2モニターの数値を下げたいなら、必要なのは空気清浄機ではなく、換気です。
厚生労働省の資料でも、HEPAフィルタ付きの空気清浄機は使用を考えられる一方で、
「空気清浄機は二酸化炭素濃度を下げることはできないことに留意」と明記されています。
つまり、空気清浄機には役割がありますが、CO2対策の本体ではないということです。
それだけ勘違いする人が多いことを表しているわけですが、ここを取り違えると、かなりややこしいことになります。
空気清浄機をしっかり回している。部屋のにおいも少しマシ。ほこりっぽさも減った気がする。なのにCO2モニターは高いまま。
こういうことは普通に起こります。理由は単純で、空気清浄機が得意なことと、換気がやることが違うからです。
空気清浄機は、空気中の粒子や一部の汚れへの対策としては意味がありますが、室内にたまった二酸化炭素を外へ逃がして、外の空気を入れ替える機械ではありません。
厚生労働省は、必要換気量を確保するためには一人当たり30m³/時を目安とし、その確認のためにCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持する考え方を示しています。
この記事でやりたいのは、空気清浄機を雑に否定することではありません。
そうではなく、「空気清浄機は何に役立つのか」と、「CO2を下げるには何が必要なのか」を切り分けることです。
ここが整理できると、CO2モニターの数字を見たときに、変な遠回りをしなくなります。空気が重い、眠い、こもっている感じがする。そういうときに、何を見て、何をすればいいかがかなりはっきりします。
空気清浄機ではCO2は下がらない

まず、いちばん大事なところからです。
空気清浄機ではCO2は下がりません。
これは感覚論ではなく、厚生労働省の資料にそのまま書かれている話です。感染対策や換気の資料では、HEPAフィルタ付き空気清浄機の活用が紹介される一方で、二酸化炭素濃度を下げることはできないと繰り返し示されています。つまり、空気清浄機を回しているからCO2も下がる、という理解はズレています。
ここでのポイントは、空気清浄機が悪いのではなく、担当している仕事が違うということです。
たとえば、掃除機に除湿を期待しても無理です。役割が違うからです。空気清浄機も同じで、粒子や浮遊物への対策には意味があっても、CO2濃度を下げる仕組みそのものではありません。
CO2を下げたいなら、室内の空気を循環させるだけでは足りず、外気を入れて、室内の空気を出す必要があります。厚生労働省資料でも、必要なのは十分な外気の取り入れと排気だと整理されています。
厚生労働省資料でも「空気清浄機はCO2を下げられない」とされている
この点はかなり明快です。
厚生労働省の「感染拡大防止のための効果的な換気について」では、必要な換気量を確保できない場合に、換気扇、扇風機、サーキュレータのほか、HEPAフィルタ付きの空気清浄機の使用も考えられるとしつつ、空気清浄機は二酸化炭素濃度を下げることはできないことに留意と明記しています。
つまり、空気清浄機は換気の代用品ではなく、せいぜい補助です。ここをぼかすと話が全部ねじれます。
さらに厚生労働省の別資料では、空気清浄機は換気を補完する目的で使用するものであり、窓を閉めて空気清浄機だけを使用しても十分な効果は得られないとされています。ここでいう「十分な効果」は、換気不足の改善まで含めた話です。つまり、空気清浄機を強く回せば換気しなくてもいいという考え方は、公的資料の整理と合っていません。
なぜ空気清浄機では二酸化炭素濃度が下がらないのか
理由は、かなり素直です。
CO2濃度を下げるには、室内にたまった二酸化炭素を外へ出し、外の空気を取り入れる必要があるからです。
空気清浄機は、室内の空気を本体に通して粒子などを減らすことはできても、換気そのものをしているわけではありません。
厚生労働省がCO2濃度の管理と必要換気量を結びつけているのも、CO2が「どれだけ外気が足りているか」を見る指標だからです。
必要なのは「外気を入れること」と「室内の空気を出すこと」
CO2は、人が呼吸すると増えていきます。
人が増える。ドアや窓が閉まる。換気設備が止まる。授業や会議が続く。こういう条件が重なると、室内のCO2はじわじわ上がります。
これを下げるには、室内の空気をぐるぐる回すだけでは足りません。外から新しい空気を入れて、中の空気を排出することが必要です。
厚生労働省は、必要な換気量の目安を一人当たり30m³/時とし、その確認のためにCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持する考え方を示しています。
このため、CO2モニターの数字が高いときにやるべきことはかなり決まっています。
空気清浄機の風量を上げることより先に、機械換気が動いているか、窓を開けられるか、2方向の開口があるか、人数に対して空間が足りているかを見たほうが早いです。
厚生労働省は、機械換気がない場合は窓開け換気を行い、2方向を窓開けると換気効果が大きいとしています。ここは小手先ではなく本丸です。
空気清浄機ができること、できないこと
ここはきっちり分けておいたほうが、読者が誤解しません。
空気清浄機ができること
厚生労働省資料では、HEPAフィルタ付き空気清浄機について、空気中に浮遊する0.3μmの微粒子の99.97%以上を除去可能と説明されています。
つまり、粒子、微粒子、浮遊物といった面では役に立つ機種があります。必要換気量の確保が難しい場合に、換気扇、扇風機、サーキュレータなどと並んで、補助的に使う選択肢として挙げられているのもそのためです。
だから、空気清浄機そのものを「意味がない」と切って捨てるのは雑です。
空気清浄機ができないこと
一方で、CO2濃度を下げることはできません。
ここを混ぜると失敗します。粒子対策に役立つことと、二酸化炭素対策になることは別です。厚生労働省資料では、空気清浄機の活用を認めながらも、CO2濃度は下げられないと明記しているので、役割分担ははっきりしています。
つまり、空気清浄機は「空気の一部の問題」には効いても、「換気不足の指標であるCO2」を直接下げる道具ではないということです。
空気清浄機だけで換気の代わりにはならない
ここは特に大事です。
厚生労働省の資料には、空気清浄機は換気を補完する目的で使用するものであり、窓を閉めて空気清浄機だけを使用しても十分な効果は得られないとあります。
つまり、空気清浄機はあくまで脇役です。主役は換気です。主役と脇役が逆転すると、部屋の見た目は整っていても、CO2モニターだけは正直に「いや、空気こもってますよ」と告げてきます。数字は情け容赦がない。そこが便利でもあります。
CO2濃度を下げるには、なぜ換気が必要なのか
答えは単純で、CO2は換気の不足で上がるからです。
厚生労働省は、二酸化炭素濃度を室内空気の汚染度や換気状況を評価する指標の一つと位置づけています。
また、建築物環境衛生管理基準では1000ppm以下、学校環境衛生基準では1500ppm以下が望ましいとされています。これらは「すぐ危険」という煽りの数字ではなく、換気が足りているかを見る目安です。
1000ppmと1500ppmはどう見ればよいか
実用的に言うなら、まず1000ppmを意識してください。
厚生労働省は必要換気量の目安として一人当たり30m³/時を示し、その確認として概ね1000ppm以下を維持する考え方を示しています。
学校では文部科学省の基準として1500ppm以下が望ましいとされていますが、学校向けの換気資料でもCO2モニターの活用や効果的な換気の徹底が示されています。
なので、CO2モニターの数字を日常的に見るなら、1000ppmを超えたら換気不足を疑う、1500ppm近いならかなりこもっていると考えるくらいが実用的です。詳しくは関連記事の
「二酸化炭素濃度は何ppmからまずいのか|1000ppm・1500ppmの見方」
で整理しています。
窓開け換気は2方向が基本
厚生労働省は、機械換気が設置されていない場合、2方向を窓開けると換気効果が大きいとしています。
文部科学省の学校向け資料でも、窓側と廊下側を対角に開けることで効率的に換気できるとされています。つまり、なんとなく1か所だけ少し開けるより、空気の入口と出口を作るほうが筋がいいということです。換気は気分ではなく、流れの問題です。
エアコンをつけていてもCO2は下がらないことがある
これも非常によくある誤解です。
部屋が涼しい。暖かい。風が出ている。だから換気できているはず。残念ながら、そうとは限りません。厚生労働省の資料では、通常のエアコンには換気機能がないことに留意とされています。
また、換気機能のない冷暖房設備、いわゆる循環式エアコンだけでは、必要換気量を確保するために窓開けが必要になるとされています。
つまり、快適な温度と十分な換気は別物です。ここを取り違えると、部屋は快適なのにCO2だけ高いという、ちょっと厄介な状態になります。
CO2モニターの数値が高いときに、まずやるべきこと
ここからは、読者がすぐ動ける形で整理します。
まずやることは、空気清浄機の風量アップではありません。
先に見るのは、換気の経路があるかどうかです。機械換気があるなら、止まっていないか、弱運転になっていないか、フィルタ清掃ができているかを確認します。
厚生労働省も、機械換気による常時換気と、定期的な機械換気装置の確認やフィルタ清掃が重要だとしています。
次に、窓開けができるなら、1方向ではなく2方向を意識します。
片側だけ少し開けるより、入口と出口を作るほうが換気しやすいからです。
学校向け資料でも、窓・扉の開放率が低いとCO2濃度が1500ppmを超えることが多いとされ、対角線上の開口が換気効果を高めることが示されています。
人数が多い、授業や会議が長い、ドアを閉めっぱなし、こうした条件が重なるほど、CO2は上がりやすくなります。
さらに、人数と時間帯を見てください。
会議の後半だけ高いのか。授業終盤だけ高いのか。朝からずっと高いのか。ここで意味が変わります。
一時的に高いなら、在室人数や換気タイミングの問題かもしれません。ずっと高いなら、換気量自体が足りていない可能性が高いです。CO2モニターは、瞬間値を見るだけでなく、時間と一緒に見ると使える道具になります。詳しくは
「CO2センサーの正しい見方|どこに置くか、何を見るか、何ppmで動くか」
で掘り下げます。
「空気がきれい」と「CO2が低い」は同じではない
ここはかなり誤解されやすいところです。
空気清浄機を回すと、においの感じ方が変わることがあります。ほこりっぽさが減ることもあります。HEPAフィルタ付き機種なら、微粒子の除去に役立つこともあります。
ですが、それとCO2が低いことは同じではありません。厚生労働省資料が示すように、HEPAフィルタ付き空気清浄機は粒子対策には使えても、CO2濃度は下げられません。
つまり、粒子の面では改善していても、換気不足は残ったままということがありえます。
この違いを知らないと、かなり混乱します。
「空気清浄機をつけているのに、なぜ眠いのか」
「部屋はきれいな感じなのに、CO2モニターが高いのはなぜか」
答えは、見ている対象が違うからです。空気の快適さは、粒子、におい、温度、湿度、気流、CO2など、いくつもの要素で決まります。CO2だけで全ては決まりませんが、CO2が高いなら、少なくとも換気は足りていない可能性が高い。
だから、空気の評価をするときは、「空気清浄機を回しているか」ではなく、換気が足りているかも別で見ないといけません。
よくある誤解
「空気清浄機をつければCO2も下がる」
下がりません。
厚生労働省資料で明確に否定されています。CO2を下げるには、十分な外気の取り入れと排気が必要です。
「エアコンをつけているから換気できている」
そうとは限りません。
通常のエアコンには換気機能がないことに留意、と厚生労働省が示しています。温度調整と換気は別です。
「空気清浄機は意味がない」
それも違います。
HEPAフィルタ付き空気清浄機は微粒子対策などで役立ちうるため、厚生労働省も補助的な活用を認めています。ただし、CO2対策の主役ではないというだけです。ここを極端にすると、話が雑になります。
「CO2が1000ppmを超えたらすぐ危険」
そこまで単純ではありません。
1000ppmは、建築物環境衛生管理基準や換気の実務で使われる目安で、主に換気不足を疑うラインとして使われます。厚生労働省の検討資料では、1000ppm程度の低濃度域での影響やSBS症状との関係が整理されていますが、他の汚染物質との混合曝露など、さらに検証が必要な部分もあるとされています。
つまり、煽る数字ではなく、見直しの数字として読むのが正確です。
まとめ|CO2対策の本体は換気、空気清浄機は補助
最後に、この記事の結論をもう一度はっきり書きます。
空気清浄機では、二酸化炭素濃度は下がりません。
空気清浄機は、粒子対策などでは意味があります。ですが、CO2モニターの数値を下げたいなら、本体は換気です。必要なのは、外気を取り入れ、室内の空気を排出することです。
厚生労働省も、必要換気量の目安として一人当たり30m³/時、確認のためにCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持する考え方を示しています。
だから、CO2モニターの数字が高いときは、まずこう考えてください。
空気清浄機を増やす前に、換気を見直す。
機械換気が動いているか。窓を2方向で開けられるか。人数が多すぎないか。エアコンだけで安心していないか。ここを確認するだけで、打ち手はかなり変わります。
数字を見て不安になるより、数字を見て換気を整える。この記事で持ち帰ってほしいのはそこです。
次に読むなら、この順番が自然です。
まず、CO2の基準そのものを整理したいなら、
「二酸化炭素濃度は何ppmからまずいのか|1000ppm・1500ppmの見方」。
次に、CO2モニターの見方を整理したいなら、
「CO2センサーの正しい見方|どこに置くか、何を見るか、何ppmで動くか」。
さらに、換気量をどう考えるかまで進むなら、
「換気回数とは何か|教室・施設・部屋で足りているかの考え方」。
最後に、日本の基準をまとめて確認したいなら、
「日本の空気環境基準まとめ|ビル・学校・施設で何を見ればよいか」
につなぐと、理解がきれいに一本になります。


