葬儀場や安置室で、
空気がこもる
においが気になる
換気が足りているのか不安

と感じるときは、臭気だけでなく、換気とCO2濃度も確認する価値があります。

特に安置室では、一般の会館スペースとは別の見方が必要です。厚生労働省の2025年ガイドラインでは、冷蔵庫や冷蔵室がない場合に使うドライアイスについて、それ自体が二酸化炭素高濃度発生源となりうるとし、特に納棺までの間は安置室内のCO2濃度が極めて高濃度になることを認識することと明記しています。

さらに、定期的な換気が必要であり、納棺以降は棺を開けて覗き込むなどの行為を控えるよう注意喚起することも示しています。つまり、葬儀場・安置室では、においの話だけで終わらず、ドライアイス由来のCO2まで見ておく必要があります。

この記事は、医療効果や健康効果をうたう記事ではありません。
また、「この対策で安全になる」と断定する記事でもありません。

そうではなく、会館・安置室の空気環境をどう確認するかを整理する資料記事です。


葬儀場では、会館スペースと安置室で、空気環境の見方が少し違います。

会館スペースは在室人数と換気不足を中心に見やすく、安置室は臭気に加えて、ドライアイス由来のCO2や床付近の滞留まで意識したほうが実務的です。

厚生労働省資料をそのまま読むと、この二段構えで整理するのがいちばん筋が通ります。


目次 [ close ]

葬儀場・安置室では、臭気だけでなく、換気とCO2濃度も確認する価値がある

最初に押さえたいのは、においの問題とCO2の問題は、同じとは限らないということです。

会館スペースでは、人が集まればCO2が上がりやすくなります。厚生労働省は、必要な換気量の目安として1人当たり30m³/時を示し、確認方法としてCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持する考え方を示しています。

さらに、1000ppm以下はあくまで目安で、適切な換気や気流となっていることが重要とも整理しています。つまり、待合や式場、打合せ室のように人が一定時間集まる場所では、まず一般的な換気不足の見方が使えます。

一方で安置室は、それだけでは足りません。厚生労働省の御遺体取扱いガイドラインでは、ドライアイスは高濃度CO2発生源になりうるため、特に納棺前は安置室のCO2濃度が極めて高濃度になることがあるとしています。

つまり、安置室では、人がいるからCO2が上がるだけでなく、保冷のためのドライアイスでCO2が上がるという別の要因があります。ここが、一般の店舗や事務所と大きく違うところです。


なぜ葬儀場・安置室では空気環境を分けて考える必要があるのか

葬儀場の空気環境を一括で語ると、実務では使いにくくなります。
理由は、会館スペースと安置室では、空気が悪くなる仕組みが少し違うからです。

会館スペースでは、

  • 参列者やスタッフが集まる
  • 時間帯で人数の増減が大きい
  • ドア開閉や動線で空気の流れが変わる
  • 式の進行中は閉めた運用になりやすい

といった条件が効きます。これは、厚生労働省が一般の施設について示している、人が集合する場所は一時的に換気不足になりやすいという考え方でかなり説明できます。

これに対して安置室では、

  • 人数が少なくてもCO2が高くなることがある
  • ドライアイス使用時は床面付近にCO2がたまりやすい
  • 臭気の確認とCO2の確認を分けて考えたほうがよい
  • 棺や安置方法で空気の動き方が変わる

といった特徴があります。厚生労働省ガイドラインは、比重の重いCO2が床面に溜まること、定期的な換気を要すること、御遺族が棺内を覗き込む行為は避けるよう注意喚起することを明示しています。

つまり、安置室は一般的な換気不足だけでは語れない空間です。


臭気の問題とCO2の問題は、同じとは限らない

ここはかなり大事です。
臭気がある = CO2が高いとは限りません。
逆に、CO2が高い = 強い臭気があるとも限りません。

臭気は、空気中に残るにおいの問題として見ます。


一方でCO2は、会館スペースなら在室人数と換気量、安置室ならそれに加えてドライアイス由来のCO2まで見ます。厚生労働省が一般施設向けに示す1000ppmの考え方は、人に対する必要換気量の確認に使いやすい一方、安置室向けガイドラインでは、部屋の用途ごとに別の目安が示されています。

つまり、臭気とCO2は、関連することはあっても、確認の軸は同じではないと整理するほうが実務的です。

この整理をしておくと、
「においがあるから換気不足に違いない」
「CO2が低いから問題ない」
という単純化を避けやすくなります。


葬儀場・安置室では、臭気は臭気として、CO2はCO2として見る。まずはここが土台です。


ドライアイス使用時は、安置室のCO2を別枠で考える

ここは、この業種別記事のいちばん重要なポイントです。

厚生労働省の2025年ガイドラインでは、冷蔵庫や冷蔵室がない場合に使用するドライアイスについて、特に納棺までの間は安置室内のCO2濃度が極めて高濃度になることを認識することと示しています。

また、御遺体の脇にドライアイスを置く場合、室内の二酸化炭素濃度は極めて高くなると明記し、御遺族が付き添う場合は定期的な換気、時間を区切る、部屋を分けるなど、曝露時間の低減を心掛けることとしています。

さらに同ガイドラインでは、ドライアイス使用時の留意事項として、室温条件に応じて速やかに気化し、密室内では極めて高濃度のCO2濃度となるため、箱の中に密閉して取り扱うことが原則とし、搬送時の車内や納棺前の御遺体の脇にドライアイスを置く場合には、車内や室内の酸素濃度が低下するおそれがあるため、細心の注意を要すると示しています。ここまで書かれている以上、安置室ではドライアイス由来のCO2を別枠の管理項目として見るのが自然です。

棺を開けて覗き込む行為への注意喚起

この点も、厚生労働省ガイドラインがかなり具体的です。
同ガイドラインは、納棺以降は棺を開けて覗き込むなどの行為を控えるよう注意喚起すること、さらに棺内をのぞき込む行為及び顔を入れる行為は死亡事故につながる危険性があることを十分認識したうえで対応することを示しています。やや強い表現ですが、これは公的な注意喚起そのものです。

葬儀場・安置室の記事では刺激的に書く必要はありませんが、空気環境管理の一部として注意喚起が必要な場面があることは整理しておいたほうが実務的です。


安置室と会館スペースでは、見方が少し違う

一般の会館スペースは1000ppmを目安に見る

会館スペース、ロビー、控室、打合せ室、事務スペースのように、人がいて、一般的な室内換気を考える場所では、厚生労働省の一般的な換気目安が使いやすいです。


必要換気量を確保する目安として、1人当たり30m³/時、確認としてCO2濃度1000ppm以下。機械換気がない場合は2方向の窓開け。空気の流れを阻害するパーティションは気流に平行に置く。こうした基本は、葬儀場でもそのまま使えます。

安置室はMHLWガイドラインの室区分で見る

一方で安置室は、厚生労働省ガイドラインが室区分A・B・Cで別の目安を示しています。
具体的には、

  • 室区分A:御遺体を安置するだけの部屋
  • 室区分B:御遺体を安置し、従業員が一定時間作業を行う部屋
  • 室区分C:御遺族が立ち入る安置・葬儀室

  • と整理され、二酸化炭素濃度の望ましい基準として、**Aは5000ppm、Bは5000ppm、Cは3000〜3500ppm(いずれも平均値)**が示されています。これは一般の施設に対する1000ppm目安とは別の、安置室特有の実務基準として読む必要があります。

ここで大事なのは、
会館スペースまで全部3000〜5000ppmで見てよい、という話ではない
ということです。


あくまでこれは御遺体を安置する部屋に関する厚生労働省ガイドラインです。
なので、会館スペースは一般の換気の見方、安置室はガイドラインの室区分で見る、という二段構えがいちばんわかりやすいです。

20〜30分に1回の自然換気という考え方

厚生労働省ガイドラインは、機械換気設備がない場合、御遺体の数(棺の数)に応じて、20〜30分に1回、部屋の対角を窓開けするなどの方法で自然換気に努めることを示しています。


これは安置室向けにかなり具体的な指示です。


つまり、安置室では「たまに開ける」より、時間間隔を持って換気するという考え方が重要になります。一般の店舗や事務所の記事より一歩踏み込んだ実務ポイントです。


CO2モニターはどう使えばよいか

CO2モニターを置いても、数字の意味がわからないと使いにくいです。
葬儀場・安置室で見るなら、場所ごとに読み方を分けるのが基本です。

会館スペースでは、

  • 混雑時間帯にどう上がるか
  • 開式前後でどう変わるか
  • 控室や打合せ室で閉め切った時間に上がるか
    を見ると実態がつかみやすいです。厚生労働省も、人が集合する場所は一時的に換気不足になりやすいため、混雑時間帯にCO2が目安を下回っているか確認するよう示しています。

安置室では、

  • ドライアイス使用時にどう動くか
  • 換気後に下がるか
  • 床付近に滞留しやすい条件がないか
    を意識したほうがよいです。
    厚生労働省ガイドラインは、安置室のCO2を平均値で見ること、ドライアイス取扱い作業者は作業時間を可能な限り短時間(おおむね15分前後)にとどめるよう努めることも示しています。つまり、安置室では「今この瞬間」だけでなく、使用条件と換気条件をセットで見ることが大事です。

測る場所が悪いと数値もずれる

CO2モニターの置き場所も重要です。厚生労働省は一般の換気資料で、測定器はドア、窓、換気口から離れた場所で、人から少なくとも50cm離れたところに置くことを示しています。


つまり、会館スペースで入口のすぐ横や換気口の真下に置くと、部屋全体より低めに出やすいです。逆に、人のすぐ近くでは高めに出やすいです。


安置室ではさらに、床付近にCO2がたまりやすいというガイドラインの前提があるので、どの高さ・どの位置の数値を見ているかを意識したほうが実務的です。


数値だけでなく、空気の流れや滞留も見る

ここは、かなり大事です。
CO2が目安内でも、空気のよどみがあれば確認ポイントは残ります。

厚生労働省は、一般の換気資料で、十分な外気の取り入れ・排気とあわせ、空気の流れにより局所的に生じる空気のよどみを解消することを求めています。

また、空気の流れを阻害する高いパーティションや天井からのカーテンなどは、空気の流れに対して平行に配置し、空気の通り道を設けることとも示しています。

つまり、会館内で仕切りや家具配置が多い場所では、数字だけでなく、流れが止まっていないかも見たいところです。

安置室でも同じで、

  • 棺や安置台の置き方
  • ドア開閉の向き
  • 排気口と給気側の位置
  • 壁際や床付近の滞留

  • を見たほうがよいです。
    厚生労働省ガイドラインが、CO2の高さそのものだけでなく、定期的な換気曝露時間の低減まで書いているのは、単純な数値管理だけでは足りないからだと読むのが自然です。

空気清浄機と換気の役割は違う

ここもはっきり分けたほうが誤解が減ります。
空気清浄機はCO2を下げません。

厚生労働省の換気資料では、HEPAフィルタ付き空気清浄機の使用は補完策として考えられる一方、空気清浄機は二酸化炭素濃度を下げることはできないと明記されています。


つまり、会館スペースでCO2が高いときも、安置室でドライアイス由来のCO2を考えるときも、本体は換気です。空気清浄機だけでCO2問題は処理できません。

もちろん、空気清浄機を全否定する話ではありません。


厚生労働省も、必要換気量を確保できない場合には、換気扇、扇風機、サーキュレータ、HEPAフィルタ付き空気清浄機の使用を補完策として示しています。


ただ、役割を整理すると、

  • CO2を見る中心 → 換気
  • よどみを動かす補助 → ファン、サーキュレータ
  • 粒子対策の補助 → 空気清浄機

という整理になります。ここを混ぜないことが大事です。


経営者・会館責任者・現場スタッフが自分で確認できるポイント

ここからは、現場で見やすい順に整理します。

1. 会館スペースは「人数が集まる時間」で見る

会館スペースは、空いている時間より、

  • 面会や打合せが重なる時間
  • 通夜や告別式の前後
  • 控室の利用が重なる時間
    でCO2や空気のこもり方を見るほうが実態に近いです。
    厚生労働省も、混雑時間帯にCO2が目安を下回っているか確認するよう示しています。

2. 安置室は「ドライアイス使用時」を別に見る

安置室では、普段の空室時ではなく、

  • ドライアイス使用中
  • 納棺前
  • 開閉が少ない時間帯
  • 付き添いや作業が重なる時間

  • で見たほうが実務的です。
    厚生労働省ガイドラインは、特に納棺までの間にCO2が極めて高濃度になりうるとしています。

3. 機械換気が本当に使えているか確認する

厚生労働省は、機械換気による常時換気定期的な機械換気装置の確認やフィルタ清掃を重要としています。
スイッチが入っているかだけでなく、

  • 給気口がふさがっていないか
  • 排気口が塞がれていないか
  • 風量が弱すぎないか
  • 点検されているか

  • を見たいところです。

4. 自然換気なら「対角」で開ける

一般の換気資料でも、安置室ガイドラインでも、対角の窓開けという考え方が出てきます。


一般の施設では2方向の窓開け、安置室では20〜30分に1回、部屋の対角を窓開けです。
つまり、「少し開けている」より、入口と出口を作ることが重要です。

5. ドア開閉と空気の流れを確認する

会館スペースも安置室も、ドア開閉で流れが変わります。


厚生労働省は、空気の流れを確認する簡易手法として、スモークテスター、ティシュ、糸などで流れ方向を見る考え方も示しています。


大げさな設備診断の前に、どちらから空気が入り、どちらに抜けるかを見るだけでもかなり整理しやすくなります。

6. 棺や安置方法の近くでは、滞留を意識する

厚生労働省ガイドラインは、ドライアイスを棺内に入れず御遺体の脇に置く場合、室内のCO2濃度は極めて高くなるとしています。


つまり、安置方法の近くでは、部屋全体の平均値だけでなく、局所的な滞留も意識したほうがよいです。
ここは臭気の有無だけでは読めない部分です。


よくある誤解

「においがある=危険」

そこまで単純ではありません。
臭気は臭気として確認すべきですが、CO2と同じではありません。


においがあってもCO2が高いとは限らず、逆にCO2が高くても強い臭気がないこともあります。

「ドライアイスがある=必ず危険」

これも単純化しすぎです。


ただし、厚生労働省は、ドライアイスを高濃度CO2発生源として明確に注意喚起しており、特に納棺までの間や付き添い時には定期的な換気を要するとしています。


つまり、重要なのは雑に怖がることではなく、使う条件と換気条件を把握することです。

「換気すれば安全」

断定はできません。
厚生労働省も、1000ppm以下は目安であり、適切な気流やよどみの解消が重要としています。
換気は重要ですが、換気だけで全部を言い切る書き方はしないほうが正確です。

「CO2が低ければ問題ない」

これも違います。
CO2は換気確認には有効ですが、臭気や局所的な滞留まで全部を代表するわけではありません。


特に会館スペースと安置室では、見方を分けたほうが実務に合います。

「空気清浄機があれば十分」

十分ではありません。
空気清浄機はCO2を下げないと厚生労働省が明記しています。CO2を見るなら本体は換気です。


まとめ|葬儀場・安置室の空気環境は「臭気」と「CO2」を分けて整理する

葬儀場・安置室の空気環境を確認するときは、
臭気の話CO2の話を分けて整理するのが基本です。

会館スペースは、一般の換気の考え方で、
1人当たり30m³/時CO2は概ね1000ppm以下を目安2方向の窓開け空気の流れを阻害しない配置、という見方が使いやすいです。

一方で安置室は、厚生労働省の2025年ガイドラインに沿って、


ドライアイスは高濃度CO2発生源になりうる
納棺までの間はCO2が極めて高濃度になることがある
機械換気がなければ20〜30分に1回の自然換気
室区分A・B・CでCO2の望ましい基準が違う
という別枠の見方が必要です。

読者として最初に押さえるなら、この順番で十分です。

  • 会館スペースは人数が集まる時間に見る
  • 安置室はドライアイス使用時を別に見る
  • 臭気とCO2を同じ問題として扱わない
  • CO2モニターは場所と時間帯を意識して使う
  • 数値だけでなく、空気の流れと滞留も確認する
  • 空気清浄機と換気を混同しない

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この1本は、葬儀場を批判するための記事ではありません。


会館・安置室の空気環境を、確認項目ごとに整理して見られるようにするための記事です。


臭気だけで終わらせず、CO2と換気まで含めて見る。
そこまで整理できると、現場の見え方はかなり変わります。