授業の終盤になると、なんとなく眠い。
空気がこもる。
教室の後ろのほうが重たい感じがする。


講師側も、生徒側も、「後半になると空気が変わる」と感じることがあります。

こういうときは、教室のCO2濃度や換気不足を確認する価値があります。


文部科学省の学校環境衛生基準では、教室の換気の基準として二酸化炭素は1500ppm以下が望ましいとされており、厚生労働省の換気資料では、必要な換気量を確保する目安としてCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持する考え方が示されています。

さらに学校についても、学校環境衛生マニュアルを踏まえつつ、できる限り1000ppm相当の換気等に取り組むことが望ましいと整理されています。

つまり、塾や教室で授業後半に空気のこもり感が出るなら、感覚だけで終わらせず、教室環境として確認できる数字があるということです。

この記事は、眠気や集中しづらさを病気のように扱う記事ではありません。


また、「換気すれば必ず集中しやすくなる」と断定する記事でもありません。


そうではなく、塾・教室の空気環境をどう見ればよいかを整理する記事です。授業終盤の眠さやこもり感は、睡眠不足、授業内容、室温、湿度、在室人数など、複数の要因で起こりえます。

だからこそ、まずは教室の空気環境を切り分けて見ることに意味があります。

厚生労働省の建築物衛生関係資料でも、1000ppm程度の低濃度域におけるCO2上昇と生理学的変化やSBS関連症状との関係、さらに意思決定能力や問題解決能力への影響が示唆されている一方、他の汚染物質との混合曝露などについてはさらに検証が必要と整理されています。

ここでも大事なのは、雑に断定しないことです。


授業の終盤に眠い・空気がこもるときは、まず教室環境を確認する価値がある

授業の後半に「眠い」「空気が重い」「こもる」と感じたとき、最初にやるべきなのは、根性論でも気合い論でもありません。


まずは、教室の空気環境がどうなっているかを見ることです。

文部科学省は、学校における換気の基準として二酸化炭素1500ppm以下が望ましいと示しつつ、2022年の通知で、学校環境衛生基準に加え、特定建築物に該当する学校では建築物環境衛生管理基準の概ね1000ppm以下も示されていること、そして学校でもできる限り1000ppm相当の換気に取り組むことが望ましいと周知しています。

塾は学校そのものではない場合もありますが、教室空間を考えるうえでは、この整理はかなり参考になります。つまり、授業終盤のこもり感を考えるなら、CO2濃度、換気量、在室人数、授業時間をつなげて見るのが自然です。

眠気やこもり感の原因は1つとは限らない

ここはかなり大事です。
授業後半の眠さは、必ずCO2が原因とは言えません。


長時間座っている、室温が高い、湿度が高い、前日の睡眠不足、単純に午後の時間帯である。こうした要因でも眠気は出ます。だから、「眠い=CO2」と短絡しないほうが正確です。

ただし、厚生労働省の資料では、CO2濃度1000ppm前後の低濃度域でも、生理学的変化やSBS関連症状との関係、さらに労働生産性への影響が示唆されていると整理されています。

ここから言えるのは、授業終盤の眠さやこもり感があるとき、教室のCO2や換気不足を確認する価値は十分にあるということです。原因を決めつけるためではなく、教室環境として確認できる項目があるからです。


なぜ塾・教室では授業の後半に空気がこもりやすいのか

理由はかなりわかりやすいです。
人が一定時間まとまって在室するからです。

厚生労働省は、必要な換気量の目安として1人当たり30m³/時を示しており、その確認のためにCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持する考え方を示しています。

つまり、同じ部屋でも、人が増えるほど、長く滞在するほど、必要な換気量は増えます。塾や教室は、まさにこの条件に当てはまりやすい空間です。

授業が始まると人が集まり、ドアや窓が閉まり、途中で大きく出入りしないことも多い。すると、前半より後半のほうがCO2は上がりやすくなります。

さらに文部科学省の資料では、教員1人と高学年児童35人が在室する教室で、学校環境衛生基準のCO2濃度1500ppm以下を保持するには、計算上3.18回/hの換気回数が必要と示されています。

これはかなり重要です。教室は、人数条件によって必要な換気が大きく変わる空間だということです。住宅の感覚で「少し窓を開ければ十分」と考えると、わりと簡単に外します。

教室は、思っているより空気を使います。空気の胃袋がでかい。


教室でよく使われるCO2の考え方

塾や教室で空気環境を見るとき、まず押さえておきたいのは1500ppm1000ppmです。

文部科学省の学校環境衛生基準では、教室等の換気の基準として、二酸化炭素は1500ppm以下であることが望ましいとされています。これは学校で使われる代表的な数字です。学校環境衛生管理マニュアルでも同じ考え方が示されています。

一方で、厚生労働省の換気資料では、必要な換気量を確保する目安としてCO2濃度を概ね1000ppm以下に維持することが示され、学校についても、できる限り1000ppm相当の換気に取り組むことが望ましいとされています。

つまり、教室環境を実務的に見るなら、1500ppmは学校基準として知っておく数字、1000ppmは換気不足を見直す実務上の目安として理解するとかなりわかりやすいです。

学校基準の1500ppmと、実務上の1000ppm

この2つは混同しやすいです。
でも、役割が少し違います。

  • 1500ppm:文部科学省の学校環境衛生基準で使われる数字
  • 1000ppm:厚生労働省が必要換気量の確保の目安として重視している数字

この整理をしておくと、CO2モニターの数字を見たときに迷いにくくなります。


たとえば、授業終盤に1200ppm、1300ppm、1400ppmと上がるなら、「学校基準にまだ届いていないから平気」とだけ見るのではなく、換気不足が起きていないかを見直すサインとして読むほうが実務的です。学校向けの通知でも、できる限り1000ppm相当の換気に取り組むことが望ましいとされています。


CO2濃度だけで決めつけないことも大事

ここはブレーキ役としてかなり重要です。
CO2が高いから、授業後半の眠さの原因が全部わかった、とは言えません。

厚生労働省の資料では、1000ppm程度の低濃度域でもCO2濃度上昇と生理学的変化やSBS関連症状との関係が見られ、意思決定能力や問題解決能力への影響も示唆されているとされていますが、同時に、SBS症状についてはCO2そのものか、他の汚染物質との混合曝露によるものかはさらなる検証が必要とされています。

つまり、公的資料の整理自体が、単純化しすぎない方向です。

実際の教室では、

  • 室温が高い
  • 湿度が高い
  • 午後の時間帯
  • 在室人数が多い
  • 机や荷物の配置で空気が流れにくい
  • 窓やドアを閉めがち
    といった条件も重なります。

だから、この記事で大事にしたい結論はこうです。


授業後半に眠い・こもると感じたら、まず教室環境を確認する。


CO2はその入口としてかなり使える。
でも、CO2だけで全部を言い切らない。
このバランスがいちばん実用的です。


在室人数、授業時間、窓開け、機械換気はどうつながるか

塾や教室の空気環境は、人数 × 時間 × 換気でかなり見えます。

厚生労働省は、必要換気量の目安を1人当たり30m³/時とし、必要換気量を満たしているか確認する方法としてCO2センサーの活用が効果的だとしています。

つまり、在室人数が多い教室では、それに応じた換気量が必要になります。授業時間が長くなれば、その分だけCO2も上がりやすくなります。だから、「後半だけ眠い・重い」は、教室の空気環境としてかなり説明しやすい現象です。

窓を開ければよい、だけでは整理しきれない

窓開けは大事です。
ただし、どこをどう開けるかまで見ないと、思ったほど効かないことがあります。

文部科学省の学校向け資料では、廊下側と窓側を対角に開けることで効率的に換気できるとされ、窓を開ける幅は10cm〜20cm程度を目安にしつつ、上の小窓や廊下側のらん間を全開にするなどの工夫も考えられると示されています。

また、対角線上に窓と扉を1か所ずつ10cm開けたほうが、扉だけ全開放した場合より換気効果が高かった例も示されています。つまり、ただ一か所を開ければいいわけではなく、空気の入口と出口を作ることが重要です。

機械換気が動いているかも確認したい

窓開けだけでなく、機械換気が本当に動いているかも大事です。


厚生労働省は、機械換気による常時換気を勧め、定期的な機械換気装置の確認やフィルタ清掃等も重要としています。教室や塾では、換気設備がある前提で安心していても、風量設定が弱い、フィルタが汚れている、停止している、そもそも十分な換気量が出ていない、といったことが普通にあります。

授業終盤だけこもるなら、運用と設備の両方を見たほうが早いです。

空気清浄機はCO2を下げない

ここははっきり書きます。
空気清浄機はCO2濃度を下げません。

厚生労働省の資料でも、HEPAフィルタ付き空気清浄機の使用は補助的に考えられる一方で、空気清浄機は二酸化炭素濃度を下げることはできないと明記されています。

つまり、塾や教室でCO2が高いとき、空気清浄機だけ増やしても、本丸は解決しません。CO2対策の中心は、あくまで換気です。これはかなり大きな誤解ポイントです。


CO2センサーはどう見ればよいか

CO2センサーを入れても、見方がわからないと数字に振り回されます。


教室で見るなら、まず大事なのは単発の数字より、時間変化です。

厚生労働省は、機械換気があり人数変動が大きくない場合は定常状態での測定で足りる一方、窓開け換気を行うときの連続測定は有効だとしています。

つまり、塾や教室のように授業の前半・後半で状況が変わる空間では、授業開始直後、30分後、終了前のように流れで見ることに意味があります。

授業終盤だけ上がるなら、在室人数や換気タイミングと結び付けて考えやすくなります。

測る場所が悪いと数値もずれる

ここもかなり重要です。


厚生労働省は、CO2測定器の位置について、ドア・窓・換気口から離れた場所で、人から少なくとも50cm離れたところを推奨しています。

窓際、換気口のすぐそば、人の顔の近くでは数値が偏りやすいからです。また、学校環境衛生管理マニュアルでは、教室での検査場所は授業中等に、適当な場所1か所以上の机上の高さとされています。

つまり、教室でCO2を見るなら、人が活動する高さ帯で、部屋の代表点に近い場所に置くのが基本です。

CO2はどう読むか

教室での実務的な読み方は、かなりシンプルです。

  • 1000ppm前後を超えてきたら、換気不足を疑って見直す
  • 1500ppmに近づく、または超えるなら、学校基準の観点でも高めとして明確に換気を考える
  • 一瞬だけ高いのか、授業後半に継続して高いのかを見る
  • 窓開けや換気設備で下がるかを確認する

この読み方は、厚生労働省の1000ppm目安、文部科学省の1500ppm基準、そして学校でもできる限り1000ppm相当を目指すという整理と合っています。

数字だけで脅す必要はありませんが、数字を無視してもいけません。CO2モニターは、教室の空気のくせをあぶり出す道具です。


保護者や運営者が自分で確認できるポイント

ここからは、実際に何を見ればよいかを整理します。
大げさな設備の話の前に、自分で確認できることがかなりあります。

1. 授業のどの時間帯で空気が変わるかを見る

まずはここです。
授業の開始直後は問題ないのに、後半だけこもるのか。


コマの入れ替わり後もしばらく高いのか。


午後だけ悪いのか。

この時間帯の把握だけで、かなり見えます。
厚生労働省が連続測定を有効としているのも、時間変化を見るためです。

2. 在室人数とCO2の上がり方を重ねてみる

生徒数が多いクラスだけ上がるのか。
少人数クラスでは問題ないのか。
講師を含めた総人数で差が出るのか。

厚生労働省は1人当たり30m³/時を目安にしています。
つまり、人数が増えれば必要な換気量は増えます。


ここを見ないと、「この教室は狭いから悪い」「この機械が弱いから悪い」と雑に決めつけやすくなります。実際は、人数に対して空気が足りていないだけかもしれません。

3. 窓の開け方を見直す

窓を開けているつもりでも、片側だけ少し開いているだけでは効きにくいことがあります。


文部科学省は、窓側と廊下側を対角に開ける方法を示しています。塾でも建物構造が近ければ、この考え方はかなり使えます。教室の空気は、「開けたかどうか」より「流れができているかどうか」です。

4. 換気設備が本当に動いているかを見る

スイッチが入っているかだけでは足りません。


風量設定、吸排気口のふさがり、フィルタの汚れ、長時間運転できているかも見たいところです。厚生労働省も、機械換気装置の確認やフィルタ清掃の重要性を示しています。

5. 空気清浄機に期待しすぎていないか確認する

空気清浄機は粒子対策の補助にはなりますが、CO2は下げません。
ここを混同すると、CO2モニターの数字が改善しない理由がわからなくなります。

6. CO2センサーの置き場所を見直す

窓際、換気口のそば、講師のすぐ横、生徒の顔の近く。


こういう場所では数値が偏りやすいです。


厚生労働省と文部科学省の資料に沿うなら、人から少し離し、授業中の机上高さで、部屋を代表しやすい位置で見るのが基本です。


よくある誤解

「授業終盤に眠い=必ずCO2が原因」

これは断定できません。
睡眠、室温、湿度、授業時間帯など他の要因もあります。


ただし、教室環境としてCO2や換気不足を確認する価値はあります。公的資料でも、CO2と生理学的変化や認知機能への影響は示唆されていますが、さらなる検証が必要とされています。

「学校基準は1500ppmだから、1500未満なら気にしなくていい」

そうとも言えません。
文部科学省の通知では、学校でもできる限り1000ppm相当の換気に取り組むことが望ましいとされています。実務では、1000ppm前後から換気を見直す視点が役立ちます。

「窓を開ければ十分」

開け方によります。
文部科学省は、対角に開けることや10〜20cm程度の開口など、効率的な換気のやり方を示しています。片側だけ少し開けるだけでは十分でないことがあります。

「空気清浄機を置けばCO2も下がる」

下がりません。
厚生労働省が明記しています。CO2対策の中心は換気です。

「エアコンをつけていれば換気できている」

通常のエアコンには換気機能がないことに留意、と厚生労働省は示しています。
温度管理と換気は別です。快適な温度でも、教室のCO2が高いことは普通にあります。


まとめ|塾・教室では「眠い」より先に空気環境を整理する

授業の終盤に眠い。
空気がこもる。
集中しづらい感じがする。

こういうとき、まず教室の空気環境を確認する価値があります。


文部科学省の学校環境衛生基準ではCO2は1500ppm以下が望ましいとされ、厚生労働省は必要換気量の目安として概ね1000ppm以下を示し、学校でもできる限り1000ppm相当の換気に取り組むことが望ましいとしています。

つまり、塾や教室では、授業後半のこもり感を「気のせい」で流すより、CO2、在室人数、授業時間、窓開け、機械換気をセットで見たほうが早いです。

読者として最初に押さえるなら、ここで十分です。

  • 眠い=必ずCO2ではない
  • でも、授業後半のこもり感があるならCO2と換気を確認する意味はある
  • 1500ppmは学校基準、1000ppmは実務上の見直し目安
  • 人数と授業時間が増えるほど、必要な換気量は増える
  • 窓の開け方、機械換気、センサーの置き場所で見え方は変わる
  • 空気清浄機はCO2を下げない

この順番で整理すると、保護者にも、運営者にも、講師にも伝わりやすくなります。
教室の空気は、気合いで入れ替わりません。


でも、見方がわかれば、確認ポイントはかなりはっきりします。これは妙に頼もしい話です。

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この1本は、塾・教室の記事として、
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